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ソケットリフトの新技術

日本顎咬合学会 第27回学術大会の1日目、6月20日(土曜日)の午後からは、ハンズオンセミナーを受講。

 

今回は、Sin Crest(META社、イタリア)という器具を用いた新しいソケットリフトテクニックを、明海大学歯学部 申 基喆教授の指導のもと夕方近くまで教わりました。

Sin Crest.。スクリューは一定のところで止まり、0.5mm窩を形成する制御機構を備える。

そして、最後に上部のボタンを押して先端部がプッシュされ、上顎洞骨底部を骨折させる。

 

 

ソケットリフト法とは、上顎臼歯部のインプラント治療において、骨高径不足で適切な長さのインプラントを埋入出来ないときに用いられるテクニックのことを言い、主にインプラント窩を形成後、オステオトームという棒状の器具をマレットといわれるかなずちで叩いて、上顎洞骨底部を骨折、上顎洞粘膜を挙上させて新たに骨高径を獲得する方法を言います。しかし、マレットによる槌打は、頭部への衝撃が強く、決して優しい方法とは言えないでしょう。

 

そこで今回、Sin Crestを用いたソケットリフト法は、インプラント窩を形成後、専用の制御装置を備えたスクリュー型のソケットリフトツールで、上顎洞骨底部の骨折を低侵襲で行なう、まったく新しい方法です。槌打式の第1世代、ドリル式の第2世代と比較し、第3世代のソケットリフト法とも言われています。

スクリューを回していくと、上部の白いボタン部が出現。そこを押すと・・・

上顎洞骨底部が骨折し、上顎洞粘膜を挙上させる。

底が盛り上がっているのに注目。

 

ソケットリフト法の欠点は、盲目の術式なうえに槌打による衝撃が強く、決して患者様に優しい方法とは言えない。しかし、Sin Crestを使うことで、正確に、しかも低侵襲で優しく手術が行なえることは大変喜ばれることである。あとは、盲目的なところをクリアしていければいいのだが・・・・

 

また、最近注目されている骨補填材のお話も聞かせてくれた。歯周病学の再生療法を専門にしている申教授だけに、大変参考になった。ハンズオンセミナーの途中で、午前中に特別講演をなさった Thomas J. Han先生も来場。申教授と仲がいいようだ。

 

そして、模型を使った実習が終了した頃と同時に、学会1日目が終了。ポスターと企業展示を見てその日は終わった。