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第3の要因としての力(ちから)

(前回言った未完成のまま公開してしまった記事がこれです)

 

6月12日(土)、13日(日)の2日間、東京は有楽町の 東京国際フォーラム で行われた 第28回日本顎咬合学会 に参加したとき、日曜日の午後ホールCで行なわれたシンポジウム 第3の要因 としての力(ちから) を聴講しました。

 

歯を喪失する原因の多くは、う蝕(虫歯) と 歯周病 の2大疾患が知られていますが、最近の研究によれば歯の喪失の約1割位に 噛む力による 歯牙破折 の存在がクローズアップされてきています。過度な噛む力が歯を喪失させるリスクファクターになり、これが歯を喪失させる 第3の要因としての力(ちから)  となるそうです。また、歯に留まらず口腔全般に影響を及ぼすというお話でした。

 

このシンポジウムには、東京都でご開業の 鈴木尚先生、同じく東京都でご開業の武田孝之先生、そして東京歯科大学 井上孝教授 にご講演して頂きました。

 

まず始めに、40年以上臨床経験のある 鈴木尚先生 によります 「力が関与する様々な病態像」 とういタイトルで講演がスタート。長期経過症例の中から、力が関与したと思われる歯槽骨吸収のあるレントゲン写真や、それが治癒するのに時間が掛かることなどを紹介。今まさに私の臨床現場でも遭遇している 噛む力 による歯牙喪失のプロセスを臨床家の視点から判りやすく説明していただきました。

 

続いて、武田孝之先生によります 「長期経過例から見えたインプラント補綴後の力の影響」 というタイトルで講演。長年インプラント治療をされてきた経験から、長期間噛む力の影響にさらされることで、補綴物自体の損傷のほかに、インプラント周囲炎や噛み合わせてる対合歯への影響など、過度な噛む力によってはインプラント自体から周囲の口腔組織まで影響を及ぼすことを説明していただきました。

 

最後に、井上孝教授で「メカニカルストレスは咬合の要」というタイトルで講演。噛む力によって起こる骨吸収のほか、歯を動かす矯正治療などで見られる 骨の添加、歯根の吸収などさまざまな現象を病理学の視点から最新の研究成果を交え説明していただきました。

 

日常噛むことは普通に行われる行為です。

 

しかし過度に噛んでいたり、異常な噛む癖 Bruxism があると知らず知らずのうちに、歯の喪失だけに留まらず顎関節やその他周辺の口腔組織、はたまた頭痛や肩こりにまで発展するケースもあり、ほっておけない場合もあります。

 

 

(そして、あれから数ヶ月経ちましたが、やはり過度な咬合力で歯が割れるケースや顎関節の異常などが散見されます。今回の御三方の講演から得られた情報は大変参考になります。しっかり口腔内を観察することの重要性も再確認しました。)